■ 都市計画法って何?
都市計画法は都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、それによって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的として昭和43年に制定されました。この法律は、都市計画の内容、決定手続き、都市計画制限、都市計画事業、その他都市計画に関して必要な事項を定めています。
都市計画の内容では、市街化区域、市街化調整区域、地域区域、都市施設、市街地開発事業について定めており、市街化区域のなかには、地域特性を活かすために別途、用途地域を指定し、健全な開発を促進するための各種の規制を設定しています。
改正を経て
都市計画法が制定されてから年月も経過し、都市をめぐる社会経済状況には大きな変化があり、そのなかで、都市計画についてはとりわけ住民に最も身近な行政主体である市町村が中心となって都市計画を進めていく仕組みになりました。
そこで、平成12年に都市計画法が改正され、地方公共団体、市町村が主体となって地域の課題に的確に対応できるよう、柔軟で使いやすい仕組みとなり、商業施設などの計画的な立地を効果的に推進できるようになりました。
用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域
改正された都市計画法のなかでは、都市計画法が施行されている地域内で、第一種低層住居専用地域から始まる12種類の「用途地域」の指定をしています。(図表1)
さらに、その上塗りになるような形で、特別の目的のために用途制限を加重する11種類の「特別用途地区」の指定があります。また、市町村が特別地区の種類・目的を柔軟に決めることもできるようになっています。(図表2)
これにより、自治体ベースで自由に街づくりを進める環境が整いました。また、市街化区域などの線引きが行われていない白治地帯について、市町村が独自に「特定用途制限地域」を定め、大型商業施設や、娯楽施設など、特定業態の建物の構築を制限し、白地地帯における乱開発を防ぎ、中心市街地の空洞化に歯止めをかけることができるようにもなりました。
【図表1 用途地域の概要】
用途地域 | 店舗・飲食店の立地 | 内容 |
第一種低層住居専用地域 | 50u以内可 | 低層住宅の環境保護 |
第二種低層住居専用地域 | 2階以下、 150u以内可 |
主として低層住宅の環境保護 |
第一種中高層住居専用地域 | 2階以下、 500u以内可 |
中高層住宅の環境保護 |
第二種中高層住居専用地域 | 2階以下、 1500u以内可 |
主として中高層住宅の環境保護 |
第一種住居地域 | 3000u以内可 | 住居の環境を保護 |
第二種住居地域 | 無制限 | 主として住居の環境を保護 |
準住居地域 | 無制限 | 道路の沿道、業務の利便の増進と調和した住居の環境保護 |
近隣商業地域 | 無制限 | 近隣の住宅地の日用品の提供を行う商業の利便性を増進 |
商業地域 | 無制限 | 主として商業の利便を増進 |
準工業地域 | 無制限 | 環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進 |
工業地域 | 無制限 | 主として工業の利便を増進 |
工業専用地域 | 一切不可 | 工業の利便を増進 |
【図表2 特別用途地区の例】
中小小売店舗地区 | 商業地域などにおいて、商店街を中心に中小小売店の集積・展開による街並みの形成を図るため、大型店などの立地を制限する。 |
特別住居地区 | 住居系の地域において、住民の利便性の確保と良好な住環境の両立を図るため、一定の大型施設の立地を制限する。 |
住工共生地区 | 準工業地域などにおいて、工場と住居が調和を図りつつ共存するため、一定の大型施設の立地を制限する。 |
沿道業務機能地区 | 沿道の小規模商業施設の集約的立地と交通関連サービス業務施設の整備を図るため、これら以外の建築物の立地を制限する。 |
※この他、それぞれの地域の実情に照らして、適切な特別用途地区を設定することが可能。