■ 平成18年度税制改正で大きく変わった役員給与の取扱い
平成18年度税制改正により、役員給与に関する取扱いが大幅に改正され、複雑に なっています。これは、本年5月1日より施行されている会社法において、役員報酬・ 賞与が職務執行の対価として一本化され、一方では最低資本金要件の撤廃等により 個人事業者が法人形態を選択することが容易になったと考えられたためです。
そのため従来、損金算入が認められていなかった賞与を、あらかじめ定めがあれば 損金算入を認める一方、実質一人会社とされる会社については 役員給与のうち、給与所得控除税額に相当する部分の損金算入を制限することに なります。ここでは、一般的な役員給与規定がどう改正されたかを整理してみます。 なお、適用は平成18年4月1日以後に開始する事業年度からとなっています。
T.役員給与の一元化
従来、役員報酬・役員賞与・役員退職給与として区分して規定されていたものが一元化され、図表1(PDFファイル)のようになっています。
このうち、一般的な給与については損金算入される形態が三種類となりましたので、以下ポイントを整理してみます。
U.定期同額給与
V.事前確定届出給与
図表2(PDFファイル)のように、従来は毎月定額でないと損金算入されませんでしたが、税務署長 にあらかじめ届出をすることにより損金算入できるように変わっています。
届出制度は次のようになっています。
(a)届出の提出期限
事前確定届出給与(所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与)についての税務署長に対する「事前届出」は、その給与に係る職務の執行を開始する日とその事業年度開始の日から3ヶ月を経過する日とのいずれか早い日(届出期限)までに一定の事項を記載した書類をもってすることとされています。
(b)届出の記載内容
4.利益連動給与
法人がその役員に対して支給する利益を基礎として算定される給与のうち、 非同族会社が業務を執行する役員に対して支給する給与について、一定の要件を 満たすものについては、原則として、損金の額に算入することができるように なっています。