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昭和43年3月

■ 明確化された定期同額給与の取り扱い 役員給与に関するQ&A

平成18年度の税制改正により法人の役員給与に関する規定が改正され、平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。役員給与の決め方に関しての大改正であったため実務上大きな話題となっていますが疑問点も多く発生しており、国税庁のホームページなどで追加情報も公開されてきていますので、このうち定期同額給与について、明確化された部分を説明します。

Q1(定期給与の額を改定した場合の損金不算入額)

甲社(年1回3月決算)は、平成19年1月から役員Aの給与を月額30万円増額しています。
このように定期給与の額を事業年度の中途で改定した場合には、その全額が定期同額給与に該当しないことになるのでしょうか。
なお甲社は事前確定届出給与の届出は行っていません。

A 法人税法の規定では、役員に対して支給する定期給与(その支給時期が1月以下の期間ごとであるもの)の額につき、事業年度の中途で改定が行われた場合は、その改定にかかる定期給与のうち、次にあげるものついては、定期同額給与に該当し、原則として損金の額に算入されることとされています。

定期給与の額につき、当該事業年度開始の日から三月を経過する日までにその改定がされた場合における次に掲げる定期給与

ア その改定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与
イ その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与

  1. 定期給与の額につき、当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限り@を除く)の当該事業年度のその改定前の各支給時期における支給額およびその改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与

以上からすると、中途改定は@、A該当しない場合、原則として全額損金不算入となります。ただし増額後の各支給時期における支給額も同額であるような場合は、従前からの定期同額給与とは別個の定期給与が上乗せされて支給されたものと同視しえることから上乗せ支給された定期給与と見られる部分のみが損金不算入とされます。

甲社の場合、90万円(平成19年1月から3月の各30万円)が損金不算入の対象となります。(図表1)

なお逆のケースで事業年度の途中で定期給与の額を減額した場合でやはり@、Aに該当しないとき例えば経営の状況が悪化したものの「著しい悪化」までには至らないケースについても原則としてその事業年度における定期給与に該当しないこととなります。ただし減額後もその各支給時期における支給額が同額である場合には、本来の定期同額給与の額は減額改定後の金額であり、減額改定前は、その定期同額給与の額に上乗せ支給を行っていたものであるとして、減額改定前の定期給与の額のうち減額改定後の定期給与の額を超える部分の金額のみが損金不算入として取り扱われます。

Q2 (役員の分掌変更に伴う増額改定)

乙社(年1回4月決算)では、代表取締役Bが急逝したことから、平成18年11月に臨時株主総会を開催し取締役Cを代表取締役に選任するとともに、Cの役員給与を月額50万円から前任者Bと同額の月額120万円に増額改定する旨の決議を行いました。この場合、乙社がCに支給する役員給与は定期同額給与に該当しないことになりますか。

A 原則的には、定期給与の改定が事業年度開始の日から3月経過日までに行われたものではないから、定期同額給与に該当しないように思われます。しかし、代表者の急逝というやむを得ない事情により、役員としての職務内容、地位が激変し、実質的に新たに役員に就任したのと同様の状況にあると認められる場合には定期同額給与として扱われることとされるようです。(図表2)

Q3 (一定期間の減額)

丙社は、取締役Dが統括する部署における法令違反により行政処分を受けたことからその社会的な責任に鑑み臨時株主総会において取締役Dの定期給与の額を3カ月間20%減額する旨の決議を行いました。この場合、丙者が支給する役員給与はその全額が定期同額給与に該当しないことになりますか。

A 特定の役員の不祥事などにより一定の期間のみ役員給与を減額し当該期間経過後は、減額前の給与の額を支給するというような場合には、各支給時期における支給額が同額でないことから定期同額給与に該当しないように思われます。

しかし企業秩序を乱した役員の責任を問うべく一定期間の役員給与の減額処分を行うことは、企業慣行として定着しておりこれを同額の定期給与の支給と取り扱わないとすれば実態からかけ離れることにもなりかねません。

またいったん支給した定期給与をその役員が自主的に返還した場合には定期同額給与として取り扱われるところ、その実質が同じである役員給与の減額処分について異なる取り扱いとすれば著しくバランスを失います。

このことから役員給与を一時的に減額する理由が企業秩序を維持して円滑な企業運営を図るためあるいは法人の社会的評価への悪影響を避けるために、やむをえず行われたものでありかつその処分の内容が、その役員の行為に照らして社会通念上相当のものであると認められる場合には、減額された期間においても引き続き同額の定期給与の支給が行われているものとして取り扱うことができます。(図表3)

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