■ 住宅税制の改正のポイント
平成19年度税制改正では、住宅ローン控除に、新たに控除期間を15年間とする特例措置が講じられるとともに、住宅のバリアフリー改修促進税制が創設されています。以下、要点を説明します。
住宅ローン控除の控除額の特例の創設
住宅ローン控除は所得税額を限度とするため、国から地方への税源移譲に伴う税率構造の見直しの結果、中低所得者の所得税が減ったことにより、住宅ローン控除を中低所得税者層が利用する場合の減税額が従来に比べて減少することとなりました。
このため、住宅を所得等して平成19年及び20年に居住の用に供する場合について、控除率を引き上げた上で、控除期間を15年に延長する特例が創設されています。
従来の住宅ローン控除との選択適用とされますが、この特例による控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率は、図表1のとおりです。
なお、どちらが有利ということではなく、どちらが現在の所得税の状況に適合しているかで判断することになると思われます。
住宅のバリアフリー改修促進税制の創設
1、バリアフリー改修工事に係る所得税額控除制度の創設
満50歳以上など一定の要件を満たす居住者(※1)が、自己の居住の用に供する家屋について一定のバリアフリー改修工事(※2)を含む増改築を行なった場合、その工事費用に充てるために借入れた住宅ローンについて、1千万円を限度としてその住宅ローン残高の一定割合を5年間にわたり所得税の額から控除する制度が設立されました。
この制度は、増改築等に係る住居ローン控除との選択適用とされ、控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度及び控除額率は、図表2のとおりです。
※1 一定の要件を満たす居住者
ア、50歳以上の者
イ、介護保健の要介護・要支援の認定を受けている者
ウ、障害者である者
エ、上記イもしくはウに該当する者または65歳以上の者のいずれかと同居している者
※2
一定のバリアフリー改修工事
一定のバリアフリー改修工事とは、次に該当する工事で、その工事費用(補助金等をもって充てる部分を除きます。)の合計額が30万円を超えるものをいいます。
ア、廊下の拡幅
イ、階段の勾配の緩和
ウ、浴室改良
エ、便所改良
オ、手すりの設置
カ、屋内の段差の解消
キ、引き戸への取替え工事
ク、床表面の滑り止め化
なお、適応対象となる住宅借入金などは、償還期間5年以上の一定の借入金か死亡時一括償還に係る借入金に限られます。
2、増改築等に係る住宅ローン控除の適用対象へのバリアフリー改修工事の追加
増改築等に係る住宅ローン控除は、大規模修繕等に該当しない場合には対象外とされていましたが、平成19年4月1日以後に居住の用に供する家屋から、大規模な修繕や模様替えに至らない工事であっても、一定のバリアフリー改修工事(1と同じ)を行なった場合は、控除対象となります。
3、固定資産税の減額
改修工事が完了した翌年度分の住宅に係る固定資産税の額が3分の1減額されます。
(平成19年4月1日から22年3月31日までの3年間の措置。)